ナイフは使い続けることで、少しずつ刃先が摩耗していきます。
切れ味が落ちた状態で無理に力を掛けると、思わぬケガにつながることもあります。そのため、安全に使い続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
この記事では、ナイフを研ぐ基本的な考え方と、砥石(といし)の種類、研ぎ方の流れを紹介します。
ナイフを研ぐ目的
ナイフを研ぐ目的は、新しい刃を作ることではありません。
使用によって丸くなった刃先を整え、本来の切れ味を取り戻すことです。
切れ味が保たれているナイフは、
- 木を削りやすい
- 食材を切りやすい
- 力を掛けすぎずに作業できる
- 安全に扱いやすい
といったメリットがあります。
砥石の種類
ナイフを研ぐ道具には、いくつかの種類があります。

荒砥(あらと)
刃こぼれや大きく欠けた刃を修正するときに使います。
研削力が高く、多くの金属を削ることができます。
日常的なメンテナンスでは、使用する機会はそれほど多くありません。
中砥(なかと)
最も使用頻度が高い砥石です。
刃先を整え、普段の切れ味を維持するために使われます。
初めて砥石を購入する場合は、中砥から始めることが一般的です。
仕上げ砥
細かな傷を整え、刃先を滑らかに仕上げます。
必須ではありませんが、より滑らかな切れ味を求める場合に使用されます。
研ぐ角度
ナイフを研ぐうえで重要なのが、刃を当てる角度です。

角度が一定でないと、刃先の形が崩れ、本来の切れ味を保ちにくくなります。
一般的なアウトドアナイフでは、片側あたりおおよそ15〜20度程度を目安に研がれることが多くあります。
大切なのは、正確な角度よりも同じ角度を保ちながら研ぐことです。
基本的な研ぎ方
ナイフの種類や鋼材によって多少の違いはありますが、基本的な流れは共通しています。

1. 砥石を準備する
砥石の種類に応じて、水や油を使用します。
使用方法は製品ごとに異なるため、説明書を確認しましょう。
2. 一定の角度で研ぐ
刃全体が均一に当たるよう、一定の角度を保ちながら研ぎます。
刃先だけではなく、根元から先端まで同じように動かすことが大切です。
3. 表と裏を交互に研ぐ
片面だけを研ぎ続けるのではなく、左右を交互に研ぐことで刃先が整います。
片側だけに偏ると、切れ味にも影響します。
4. バリを取る
研いでいくと、刃先にバリ(研磨によってできる薄い金属のめくれ)が発生します。
最後に軽く両面を整え、このバリを取り除くことで切れ味が安定します。

スカンジグラインドの研ぎ方
ブッシュクラフトナイフで多く採用されているスカンジグラインドは、比較的研ぎやすい構造です。
刃全体の研磨面を砥石へ密着させるだけで角度が決まるため、初心者でも角度を保ちやすい特徴があります。
そのため、現地で簡単なメンテナンスを行いやすいことも、スカンジグラインドが選ばれる理由の一つです。
研ぐときに意識したいこと
力を入れすぎる
強く押し付けても、早く研げるわけではありません。
適度な力で一定の角度を保つ方が、きれいな刃先になります。
角度が毎回変わる
角度が毎回変わると、刃先の形が波打ち、部分的に切れ味が落ちてしまいます。研ぐときは、同じ角度をキープすることを最優先に考えましょう。
切れなくなってから研ぐ
刃先が大きく摩耗すると、元の状態へ戻すまで時間が掛かります。
軽く切れ味が落ちた段階でメンテナンスする方が、作業時間も短く済みます。
使用後のお手入れ
研ぐことと同じくらい重要なのが、日頃のメンテナンスです。
使用後は、
- 汚れを落とす
- 水分を拭き取る
- 炭素鋼の場合は必要に応じてオイルを塗る
ことで、錆や劣化を防ぎやすくなります。
特に炭素鋼は水分が残ると錆びやすいため、保管前にしっかり乾燥させることが大切です。
刃を研ぐことは、ナイフを長く安全に使い続けるための基本的なメンテナンスです。